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永吉たけるさん1978年10月生
ショクギョウ:漫画家 17歳のとき某青年誌の努力賞を受賞。山口かつみ氏のアシスタントを経て、月刊少年マガジンSPECIALにて『スミレ♡17歳』連載開始。タイトルを『スミレ♡16歳』と変更し、週刊少年マガジン誌上で再スタート。現在は再び週刊少年マガジン兄弟誌「マガジンSPECIAL」で同作品を連載中。(2007年6月現在のものです。) |
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天国と地獄を味わう世界。
これが漫画家という日常。
6畳一間のアパートから3LDKのマンションへ、のサクセスストーリー。しかし週刊誌から月刊誌に移籍し、かつてのマンションの目と鼻の先にある狭い部屋に引っ越しをする。それは「またあそこへ戻ってやる」という決意の表れだった。 |
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>>きっかけ
賞への応募とアシスタント生活。
高校2年の頃、週刊ヤングサンデーの努力賞を受賞しました。もともと漠然と「自分は漫画家になれるんじゃないか」と思っていました。でもどうやって漫画を世に出すのか、編集者とどう接すればいいのか仕組みがよく分からなくて、そのまま九州の大学に通うことにしました。デザイン学科なのに数学や語学の勉強ばかりで、2ヶ月後には自主退学しましたけどね。その後、再び週刊少年サンデーの賞に選ばれ、博多に住む山口かつみ先生のところでアシスタントをしないかと声をかけられました。上京後につかんだ栄光。 先生の元では5年働きました。アシスタントの仕事は1年もあれば漫画の基本的な技術を学べるので、5年はさすがに長いです。でも先生がよく呑みに連れて行ってくれたりと居心地が良かったもので。ですが、忙しい編集者と密に連絡が取れる環境を求めて、やはり上京を決意しました。 上京後は6畳一間のアパートに住み、喫茶店でバイトしながら漫画の制作に取り組みました。バイト仲間が自分の作品に爆笑してくれたことに自信をつけ、週刊少年マガジンに応募、上京して1年半後に賞を受賞することができました。そこから担当編集者が付き、連載が始まって、今に至ります。 >>仕事について
編集者との共同作業。
漫画はパートナーである編集者と一緒になって作っていくものです。編集者とは、自分の作品を客観的に読んでくれる一番初めの読者です。つまり漫画はまず編集者にウケて、それから読者にウケることが求められます。5年続けられてこそ本物。 編集者にはアイデア豊富な人から寡黙な人まで色んなタイプがいます。週刊連載ともなると1人でアイデアを練るには時間的に限界がありますから、話し相手がいるのといないのとでは全然違います。担当が2〜3人いる大物漫画家もいますが、基本的には1人が担当します。 そうして仕上げた作品が週刊や月刊の漫画雑誌に掲載されます。ページ単価でギャラが支払われ、単行本化されればまた10%の印税が入ります。増刷されればされるほど、増刷分の印税が入る仕組みです。ただし売れない作家の生活は苦しく、5年続けられて初めて漫画家と呼べるのではないでしょうか。 >>こんな苦労も
天国も地獄も味わえる世界。
漫画家は掲載誌の読者アンケート次第で天国にも地獄にも行けます。いつ連載を打ち切られるか分からない厳しい世界です。僕も月刊連載が週刊連載にステップアップしたものの、アンケート結果が思わしくなくて、今は月刊誌に逆戻り。とりあえず首の皮一枚つながった状態です。生き延びる道は、ただ2つ。 連載作品が必ず単行本化されるとも限りません。週刊連載ならまず大丈夫ですが、月刊連載では人気次第です。その中でアシスタントも雇わなければならず、生活はなかなか良くなりません。 思うに漫画家が生き延びるには2つの選択肢しかありません。1つは人気アンケートで上位を維持し、雑誌の売り上げに貢献すること。もう1つは単行本が売れ、会社の売り上げに貢献すること。この2つです。いずれも読者に支持されること、要するに「売れること」が最も大事なのです。 >>やりがい
勇気をくれるファンレター。
作品を仕上げた瞬間は「できたー!」と叫びたくなります。漫画家は常に考える仕事なので、出来上がるまではストレスがたまります。原稿完成の翌日は何も考えない日に設定していて、その解放感がたまりませんね。書かずにいられない返事。 僕が連載する『スミレ♡16歳』は今まで漫画を読まなかった層の人たちが面白いと言ってくれているようです。高校を舞台にしているにも関わらず、読者アンケートでは幼い子供や主婦からの人気が高いんです。マガジンの中では最も薄い層で、自分でも意外な結果です。編集部にはファンレターも届くので、まだ駆け出しの自分には大変、勇気付けられます。返事を書く漫画家は少ないと思いますが、僕は反応せずにはいられないような嬉しい内容が書かれていると、返事を送ることもありますね。 >>最後に
賞を取ってからがスタート。
漫画家には独創性が求められるかもしれませんが、完全なオリジナルなどありません。例えばまったく新しい生き物を描けという課題に、手足のある生物を描いた時点で「まったく新しい生き物」とは言えません。漫画家を目指すのなら、優れた漫画をたくさん読み、良い部分を吸収して自分の作品に投影できる「パズルのピース(=引出し)」を増やすことの方が大事だと思います。漫画家への3つの心得。 それから、自己満足のための漫画は描かないこと。漫画は人に見せるものです。友達や親にも見せる勇気が必要でしょうね。恥ずかしがっていては何も始まりません。 最後に、出版社への「持ち込み」はできるだけ避けたほうが良いかもしれません。もし採用された場合、自分の担当になるのはアポの電話を取った社員であり、自分に合わない人である可能性があるからです。担当の枠を狭めることになりかねませんから。でも賞に応募すれば複数の社員が作品を読んでくれ、気に入ってくれた人が担当に名乗りを上げてくれます。賞に出すというのはつまり、自分に合う編集者を見つける作業なのです。 そうして賞を取ってからが漫画家の第一歩と言えるでしょう。
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